あちこたねぇ
Single
shiro
Maxi Single
宮原芽映
Port・fo・lio
MariPosa
2枚ワンセット
   
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蝉のハレルヤ  ①

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 09 23rd, 2007   Yowako  

よわこ D011
今日も、わたしはよわこです。
夏が終わります。夏の終わりはさびしくてキライです。夏休みは終わるし、日焼けの跡はキタナイし、アスファルトの上には死んだ蝉がいっぱい転がっています。踏みつぶされると嫌だから、つまんで植込みの陰に置こうとするけれど、不意に地面を擦ってばたばた暴れるのもいて、心臓ドキドキします。きのうの午後、家の前の道路にアブラゼミがおなかを出してひっくり返っていました。死んでるかしらと思ってしゃがんで見たら、脚をもぞもぞ動かして「起こしてくれ」って言ってるみたいでした。そーっと起こしたけれど、コロンとひっくり返ってしまいます。何度やってもダメでした。うーん…悔しい。わたしはだんだん意地になってきました。玄関から出てきた母が、「かわいそうだからそっとしといてやりなさい。」と言いましたが、もう止まりません。しつこく繰り返していたら、そのうちに蝉はぴたっと動かなくなってしまいました。「うそ…、殺しちゃった…?」人差し指でつついてみても、動きません。まるで「助けてくれ」と絶叫したポーズのまま、前脚を少し伸ばして息絶えています。どうしよう…わたしってサイテーの偽善者で酷い人間かも!わたしは蝉をてのひらに載せました。蝉の羽は茶色と黒と白のモザイク模様で、カサカサに乾いています。よく見るととってもきれい。精巧なロボットみたい。蝉の茶色い顔と離れた黒い目玉をじっと見てたら、わたしはなぜか、死んだひいおばあちゃんの顔を思い出しました。「ごめんなさい…」蝉に謝ってどうすると思いながらも、誰でもいいから謝りたい気持ちでした。「お願い、生き返って…」だんだんその気になってきて、涙まで出てきました。するとそのとき、てのひらから突然パッと蝉が飛び立ったのです。手品みたいでした。そしてあっという間に、駐車場を越え学習塾のビルを越え商店街の屋根を越えて、はるかかなたへ飛んでいってしまいました。わーい、飛んだ、飛んだ。やっぱり起こしてあげてよかったんだ。…やれやれ。自分が急にいい人に思えたから、ゲンキンなものです。母に言ったら、「よかった。死んだふりしてたのね。土のあるところまで飛んでいけるといいわね。」と言いました。   (つづく)